メーリングリストへのアンチテーゼ

以前から興味を持っているキーワードとして以下のようなものがあります。

オンライン・コミュニティ・ビルディング
オンライン・ファシリテーション
ナレッジ・マネジメント

もちろんビジネスでも今ではどこでも必要とされているスキルではあるけれど、特に資金・リソースが限られているNPO運営、同窓会・サークルの運営、時には選挙の時などの想いを共有するメンバー同志がコミュニケーション手段として、何かいい方法があれば、と思うことがよくあります。

どのようにすればグループメンバーが持っている多様な経験・知識を得ながら共に学び、刺激を得られるような、そして利益やミッションの実現が得られるコミュニティが実現するか、というテーマです。

タイトルにあるメーリングリストのアンチテーゼ、或いは限界という考え方については以前にも何度か話を周囲の人にしたことがあるけれど、なかなか理解してもらうことが難しかった記憶があります。

今日たまたまこちらのCNETブログの記事を観て、うまくまとまられているなぁ、と膝を打つ思いでした。
江島健太郎氏|社内ブログ導入記(CNETより)

本質的なコミュニケーション心理における問題のキーワードとして2点、「閉鎖性」と「儀礼的沈黙」を挙げられています。興味のある方はぜひ一読を。代わりに、社内ブログ、グループ内ブログを推奨されています。

おまけ〜使いやすいです〜【Google Blog Search
こういうすごいサービスをさりげなくリリースしているグーグルに改めて脱帽(最近はてなGoogleには洗脳されているような気がしてならない(笑)。

新潮社フォーサイトクラブ主催、梅田望夫さん講演会に参加しました

ichi352005-09-17

新潮社フォーサイト主催の梅田望夫さん講演会に参加しました。

2時間の短い時間だったものの、とても学ぶことの多い、そして梅田さん独特の視点を生で感じられる機会でした。

講演のテーマは「ウェブ社会 『大変化』への正しい対応・間違った対応」でした。

明らかにフォーサイトの読者層に対しての配慮、というかメッセージ性の強い内容になるんだろう、と思いながら講演が始まる前考えていました。フォーサイトは個人的に思い入れのある、自分にとっての思考の羅針盤として、10年以上購読している雑誌ですが、梅田さんが普段ブログなどで発信されているシリコンバレー的、インターネットトレンド的な視点とは異なり、本質にこだわった、英国エコノミスト誌のような雑誌を目指していると思います。平均年齢層もおそらく40代〜50代くらい?)なのでは、という気がします。会場にいらっしゃる方々の印象を見ても知的な雰囲気を醸し出す、スーツを着たビジネスマン風の方が多かったです。会場はやはり丸の内、なんですよね。梅田さんの講演を「ホットワイヤード」誌やCNETが主催でされていたら話の内容は非常に違ったものになったと思います。ただ、梅田さんが話をされるテーマ、‐ネット受容世代とそうでない世代のデジタルデバイド‐をお話されるにはこれほど適した場所、オーディエンスはなかったのではないのかと思います。日本が今後このネット文化に適切に対応していく時に、日本の国の大きな動きを作っているエスタブリッシュに対して、「こんな動きが起こっていますよ」、ということを伝えることが大切、と思っていたからだと思います。

フォーサイト2005年6月号「ウェブ社会『本当の大変化』はこれから始まる」
こちらの特集記事への反響が大きかったこともあり、今回の講演会が実現したとのことです。

講演の内容は驚くことにたまたま隣り合わせに座られた方がとても精緻な講演会ログをネットに掲載されています(こんなところからも改めてウェブ社会の進化のスピードを感じす)
ありがたくリンクを張らせていただきます。
http://d.hatena.ne.jp/pekeq/20050916

講演の中で梅田さんがおっしゃっていたことを以下のようにまとめてプレゼンされました
「ネット世界の4大法則と3大潮流」
第1の法則:神の視点からの世界理解
第2の法則:ネット上に作った人間の分身がカネを稼いでくれる新しい経済圏
第3の法則:(≒無限大)×(≒ゼロ)=something 消えていった価値の集積
第4の法則:オープンにすると何か生まれる

下敷きとしての3つの潮流
オープンソース
チープ革命
インターネット

話を聞きながら7年も前に手にしたFastCompanyを読んだときの気持ちが蘇えってきました。How smart people work というキャッチコピーで今も読まれているこの雑誌には梅田さんがお話されていた内容のエッセンス(もちろんブログ、Googleは当時はなかったものの)が詰め込まれていました。利益のためだけでなく、やりがい、自己実現、何か面白く楽しいものをプロジェクトとして「しごと」として創り出しいく、新たな価値観、マインドセットが盛り込まれていたものと思います。


究極の未来予想図として、今話題になっているのがEPIC(Evolving Personalised Information Construct)と呼ばれるGoogleを中心とした情報による一大帝国の誕生のビデオクリップがあります。2014年、Amazonと合併して作られる「Googlezon」が情報の蓄積・発信、そしてあらゆる個人の属性情報をBlogやSNS、メール(gmail)、映像(Tivo)の蓄積から読み取られるインフラが出来上がる、というものです。


現在の価値観では信じられないようなことが5年、10年のうちにどのような変化となって登場するのか、そして今時分たちはそのような大きな大きな来る潮流に対してどんな風にして向き合い、それを取り込んでいくべきなのか、そんなことをぼんやりと考えさせられるひと時でした。

2時間の講演の後、梅田さんがこのおそらく分かり合えることができないであろうネット社会の住人と、それを受け入れない、或いは慎重に向き合いたいと思うグループとの橋渡しをどれだけできたのか。。もしかしたら分断が広がったかもしれない、と思う箇所も正直ありました。ただひたすらに若者の意見に耳を傾けるべし、と若者に過度の期待と信頼を寄せるあまり、ネット世代特有の傲慢さを助長してしまうかも知れない。時代を経て語り継がれてきた大切な価値観、時代感覚、古きよいもの、文学や歴史などからは、今もって多くのことが学べられると思う。今ではあまり読まれなくなったかも知れない夏目漱石、いまだにエスタブリッシュメント層ビジネスマンを中心に読まれている(と感じる)司馬遼太郎、というようなものに象徴される価値観と、ブログ、SNS、そして携帯メールを中心とした短期的で感情的な情報に強く依存している可能性が高い価値観とが、今後どのように向き合っていくのか、とても興味深いです。微妙に中間層の年齢層にいる自分としては、せめてものその橋渡しができるよう、ささやかながらできることをやっていきたい、と思いました。

それにしても梅田さんのお話の中には「さすが」と膝を打つような視点がたくさんちりばめられていて、貴重な思考トレーニングであり、気づきの経験でした。どうもありがとうございました。

追記:【理解しあうことのない「二つの別世界の予感」】フォーサイト9月号より

選挙を終えて

久しぶりに選挙特番を食い入るように観てしまいました。小泉劇場、見事でした。

中でも広島6区のテレビ中継の際の二人の候補者のコメント、表情が「ふるい日本」、
「新しい日本」を象徴させているようで、「もしかしたら。。。」と思わせる戦い
でした。

明らかにインターネットを利用した情報発信の容易さにより、多くの人の意思決定
の判断基準に影響力が出てきているような気がしました。そして20代、30代が自分
たちでもやればなにかが変えられる、影響力を行使できる、と感じている気がしま
した。民主党でも30代・40代の気概ある候補者は勝利していますし。

多くのメディア、そしてブログ等で今後今回の選挙分析がされると思うけれど、
次回選挙がどんな展開で推移するか、今からとても興味深いです。今回の選挙を
教訓に「新しい日本」組が大挙して「世の中」に参加してくるような気がしてなり
ません。そして次回の選挙には必ずインターネットがより大きな役割を果たすこと
と思います。

さてさて、秋晴れのいい天気ですね。

インターネット、選挙、コミュニティ、カトリーナ

ふと思いつきでいくつか気になる情報があったので自分用にclipping。

以前に選挙とブログに関して気になる、ということを書いたけれど、やはり今回の選挙をきっかけにして本格的に選挙とインターネットに関して取り組みがされるような流れになってきている気がする。今回に関しては本当にトホホな形で各方面で取り締まりがされているようだけれどITメディアの記事が参考になります
「なんでだめなの?ネットを使った選挙運動」


一方でここ最近インターネット、ニューエコノミーの元年から10年というようなことも併せて、このブログブームを受けての過去10年の総括的なコメント、エッセイ、企画がされ始めていて面白い。アメリカでも話題になった下記8分のビデオクリップ(日本語訳付き)は過去、そしてGoogle、アマゾンなどを中心としたインターネット界のスーパーパワーが今後10年どのような道を歩むかが示唆されていてとても興味深いです。


併せて伊藤譲一さんの最近のインタビュー(CNET)も合わせて読むと今後のインターネットトレンドが俯瞰できます。

おまけな情報としてアメリカの大学生の間で広まっているFaceBookというSNSがとても「熱い」という記事に目が留まりました。昨年スタートで既に会員が340万人、一日のユニークビジター数は220万人とのこと。

人がウェブを使ってつながり、情報が簡単に手に入り、ものの売買、交換が簡単になり、何が変わるか、何を変えたいか、最終的には個としてのメディアとの付き合い方が問われる。

アメリカのハリケーンカトリーナ」被災者救援活動で重要な役割を果たしているクレイグ・ニューマークさん率いるcraigslist.orgなど、オンラインコミュニティが大きな社会のインフラとなっています。
WIRED記事「『カトリーナ』被災者救援でネットが活躍」

クレイグさんにはかつてアメリカにいたときに何度かお会いしたことがあるけれど、オンラインコミュニティの社会的意義を本当に信じ、献身的に、かつクールに事業を展開されています。そんな志のコミュニティつくりの技術を今後身につけていきたいと最近思っています。

明日開催、社会起業に関してのとても大きなイベント

今回は残念ながら参加できないものの、盛大な会になること願ってます。

日米ソーシャル・イノベーション・フォーラム開催のご案内
日米ソーシャル・イノベーション・フォーラム
CSRから社会変革投資へ、そのリターンを考える ー
開 催 の ご 案 内

日 時: 2005年8月27日(土曜日)13:30〜17:00
会 場: 日本財団ビル2F・大会議室 (東京都港区赤坂1-2-2) *定員 200名
東京メトロ 南北線・銀座線/溜池山王9番出口、銀座線/虎ノ門3番出口より徒歩5分)
地図:http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html
共 催: 東京アメリカンセンター 
CAC-社会起業家研究ネットワーク
ソーシャル・インパクト・アセスメント専門委員会
助 成:国際交流基金日米センター(CGP) 後 援: 東京財団

イントラブログ、改めてオンラインコミュニティ考

ビジネスブログブック〈3〉イントラブログと社内SNSの可能性

ビジネスブログブック〈3〉イントラブログと社内SNSの可能性

思いがけずぱらぱらと読んでみたところ、オンラインコミュニティと、ナレッジマネジメント、そして想いを共有する仲間が創り出す+αの価値創造の可能性を改めて感じました。

普段何気なく目にしている情報、会った人からの情報、電車の中吊り広告、そしてそんな普段の何気ない情報摂取から生まれる価値観、アイディア。みんな一生懸命電車の中で新聞読んでいてもアウトプット先がなかなか明確でない知識。そんな情報が想いを共にする人同士でつながり始めたときの威力はすごいものですよね、きっと。

企業の中の営業報告用社内ブログ、同窓会組織を運営するためのコミュニティ、NPO団体のマネジメントのためのナレッジマネジメント

そんなことに興味を持っている人にとってはとても興味深い視点・情報が含まれている一冊です。外に発信するブログが今旬だけれど、組織の中の活性化のための内向きブログ(イントラブログと最近呼ばれているようです)、に注目です。

イントラブログ・コンソーシアムという団体もできています。

アメリカの大学生就職人気企業ランキング

ichi352005-08-21

大学生の就職人気企業ランキングというのは日本特有のものと思っていたけれど海外でもまとまった調査がされている、ということで新鮮なニュースでした。
In search of the ideal employer (The Economist, Aug 18th 2005) より
右表:アメリカのブランドコンサルティング会社Universumがまとめたランキング

iPodなどの商品のイメージによりランキングが41位から13位に一気に上がったアップルコンピュータ、普段から大学訪問などに力を入れている企業群、新卒採用ウェブサイトを魅力的なものにしている企業郡なども上位にランキングされているとのこと。いかに普段からの大学生との relationship buildingが大切かということも指摘されています。

たとえばGEの今年の新卒入社予定者の60%は2,000人ものインターンシップの経験者であったり、PwCに関しては200校のターゲット大学に対してパートナー一人当たり年間で最大200時間までキャンパス訪問などをしての大学生との関係作りをすることが期待されているなど。

ユニークな傾向として、エンロンアーサー・アンダーセンなどの会計会社のスキャンダルがあったことによって、大手会計会社の仕事内容が単に数字の処理をするだけではない、ということが広く知れることになり、むしろランキングをあげている、という傾向もあります。ビッグ4といわれる4大会計事務所がすべてランキングのトップ15に入っています。それにしてもCIA,FBIが共に9位、10位とランキングされれいることは驚きですね。

日本の就職人気企業ランキングもやはりイメージに左右されることが多いものの、数ある企業の中で、社会に出る前に自分が興味ある企業を決める、というのはなかなか難しい選択だと思います。ブログ、掲示板などの発展でそれでも昔に比べれば情報はその気さえあればアクセスはしやすくなったんですけれどね。